交通事故で加害者が無保険だったとき
加害者が任意保険に加入していない場合、
損害賠償の支払いを求めるため、
相手に対して賠償請求行為を行う必要があります。
任意保険無加入であったとき、現実的な妥協点が必要です。
相手が無保険であることが、即ち賠償意志がないというわけではありません。相手と意志疎通ができるのであれば、賠償が可能となる現実的な妥協点を探ることも重要です。また、保険の特約で処理できるのでれば無理に自身での損害賠償を考えず、保険で処理することの方が容易かつスムーズに処理が出来ます。
・無保険に関する賠償請求の考え方
交通事故等の賠償では、車の修理費はわずかな傷でも高額となるため、安易に賠償を求めるといってもその金額はかなりのものとなります。
相手が保険に入っていれば、金額の増減をさほど気にする必要はありません。
しかし、無保険車を相手に同じように修理等を行い損害賠償請求を行っても、その金額に驚くだけでなく、支払う意欲が失われる。実際に用意に支払いすることができなくなる。ということも起こりえます。
これを防ぐため、相手によっては程々の範囲で早期に解決を目指すことも重要です。
・加害者の様子(誠意)
もっとも重要なことは、加害者の出方です。相手の状況により修理等の全ての対応が大きく変わります。
・質の悪い加害者
相手が連絡すらとれない。過失を認める気がないという質の悪い相手であれば、損害賠償等を行う場合に相当の覚悟が必要です。
訴訟等に発展した場合、金額が多い方が踏み切りやすいという点がある一方で、訴訟等費用を投じるような賠償請求行為に踏み切らないと回収出来ない可能性もあります。
・誠意ある加害者。又は、普通の加害者
事故に対する謝罪の意思や、賠償を含めた対応する意志がある場合には、賠償請求にも配慮が必要です。
保険を用いた車の修理では、新品パーツを使用して遠慮なく修理するため修理費がかなり高額となります。
中古パーツの使用や、安価に仕上げる方法等を依頼することで金額を大幅に圧縮できることもあります。
事故の状況、相手に態度。車の状況。その他のことを総合的に判断して妥協点を探ります。
むしろ大した傷がないのであれば、修理を行うことをやめて、物損に関する請求を行わないという選択肢も一つです。
・賠償請求の方法
相手に対する賠償請求では、相手の様子や金額。自身が加入する任意保険の特約(弁護士特約)や車両保険の条件等により講じることが出来る手段が異なります。
・電話及び請求書による方法
相手が賠償の意志があり、意志の疎通が図れる場合には、電話などで賠償の大雑把な打ち合わせし、修理工場等から請求書による請求の後に支払いを行ってもらう方法があります。
この方法では、修理工場等から直接請求すること。受け取りを修理工場等にすること。により、修理に関する必要な請求であることの客観性を高めることができます。
また、請求は見積もりを元に先に行い、入金確認後に修理を行うことにすることで修理後の代金不払いに関するトラブルを予防します。
・車両保険を併用して修理を行い賠償を求める方法
自身が加入する任意保険による車両保険を適用することができ、賠償されない場合には保険の使用を視野にいれて対応する場合です。
車両保険の使用を前提に修理を進める場合、一旦加入する車両保険により修理費を支払い、その後で保険会社から加害者に対して賠償請求を行ってもらいます。
少額であれば、手続きに費用がかかるため保険会社は賠償請求を行わない場合もあります。
そこで、賠償請求の対応を強く求める要望を行います。実際では、余程の金額でないと賠償請求は行われません。
・内容証明郵便による催告
配達記録付の内容証明郵便での催告は、後の訴訟になった場合の有力な証拠として扱われる重要書類です。
ある程度の知識があれば、被害者本人でも容易に作成することも出来ます。
しかし、不誠実な相手に個人名で行ってもさほど効果を期待することはできません。
そこで、あえて弁護士名で催告を行うことで、相手に対して大きなプレッシャーを与えるとともに、後に訴訟に発展した時の大きな布石となります。
契約する保険内容によっては、希望すればサービス(翌年度の保険料率に影響しない範囲)で弁護士から催告を実施してくれる場合もあります。
・訴訟を前提にした催告
損害賠償請求額がかなり大きい場合や、自身の加入する任意保険に弁護士特約を付加している場合、弁護士からの損害賠償請求の実施を依頼します。
内容証明郵便のみで片づけば、弁護料等は少額ですみます。しかし、訴訟に発展した場合にはそれなりの弁護費用等がかかります。
事故の大きさ(賠償請求の額)にもよりますが、20万~損害賠償額の約20%程度の費用がかかります。
弁護士特約がない場合は、さらに相手の賠償能力や賠償請求額を天秤にかけて判断する必要があります。
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