熱中症による労災申請と安全配慮義務
仕事中・職場における熱中症では、その因果関係と事業者の熱中症対策(安全配慮)の有無が大きな争点となります。
熱中症は重大な労災事故であり、安全配慮がとても重要です。
熱中症はその程度により一度発生すると命にもかかわる重大な労災事故です。仕事上及び、仕事との因果関係か大きい熱中症については、労災事故として労災による給付が行われます。
なお、新型コロナウイルス対策と熱中症対策の両立に関することについては、
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・熱中症対策と安全配慮
熱中症対策では、自身の健康管理に対する啓発に合わせ業務内容(就業環境)に応じた取組が必要となります。
・熱中症予防に対する啓発活動
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・熱中症発症時の応急措置
・環境整備
スポットクーラー、扇風機などの使用、携帯熱中計使用による危険な状況の早期発見
・水分、塩分等をとれる環境
作業現場の吸水場所の確保。飲み物の携行の徹底。吸水のための小休憩の実施など
・休憩場所の確保
クーラー、木陰で風通しが良い場所等
・会社がすべき安全配慮の範囲
熱中症対策について、必要となる水分等を全て会社側で用意すること。小休憩を会社側の判断で画一的に実施すること等は事実上困難です。
しかし、業務形態から作業等を作業者の判断で中断し水分補給出来ない。作業場所に水分を携帯することが出来ないなど、業務内容によっては作業者自身の啓発活動で改善できない業務も多くあります。
実施すべき安全配慮の範囲について、ケース毎に異なりますが水分を携行させる。作業場所に水筒等を持ちこむ。等を行う。これが出来ない作業内容(作業環境)においては適時水分補給の為の小休憩を挟むなど業務内容と就業環境を総合的みた配慮が必要となります。
・労災としての申請について
熱中症の労災保険の申請については、通常の労災保険の申請で用いる5号様式「療養補償給付たる療養の給付請求書」の他、熱中症と業務の因果関係等をより具体的に表す状況報告書が必要となります。
この中(状況報告書)で、事業者の安全配慮が著しく不適切である場合、指導等の対象となるかもしれません。
客観的に見て法定以上の休憩時間。熱中症の懸念がある職場環境である場合、適時水分補給ができる状態であったことが記載できるよう、日頃からの体制整備が重要となります。
・熱中症による労災事故の発生状況
職場における熱中症(労災事故)の発生件数は、建設業がもっと多く、次いで製造業や運送業での発生件数が多く、業種により発生件数に大きく差があります。
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