懲戒委員会(懲罰委員会)
重い懲戒処分を行うとき。
複数の懲戒行為。
度重なる懲戒処分を行うときには懲罰委員会が開かれます。
懲罰委員会の設置に法定要件はなく、客観性を確保する任意機関です。
会社の懲罰委員会(懲戒委員会)は、社内の規律を維持するため会社が任意に設置する機関です。このため、委員会の設置に法的な義務付けはありません。しかし、委員会という名称がなくても簡易的に社会保険労務士等の有識者から意見を聞く場を設けることがあります。
・懲罰委員会の目的
処分に関して適正な処分内容により、処分の健全性を確保する。懲戒権の濫用とならないよう、処分内容を確認し労働紛争を予防する。
懲戒行為の事実関係を確認し、処分実施の正当性を確認する。
社内による公平性を確保し、処分内容の公平感を確保する。
・懲罰委員会の構成
就業規則等により委員会メンバーを予め定めます。主な構成員:
・懲戒権利者(社長。又は雇用管理者)
・労働者の代表(労働組合の代表。又は親睦会の代表)
・有識者(顧問弁護士。社会保険労務士。産業医)
・役職者(所属長。総務課。人事課)
・現認者(懲戒事実の承認。本人に事情聴取を行った者)
・処分対象者
これらの内、懲戒行為の内容により必要となるものを招集する。
委員会の具体例:
・犯罪行為により、本人が逮捕・拘留されている場合。社長、役職者2名、労働者の代表、現認者 計5名
・業務上横領により、刑事告訴の是非を含めて審議する場合。
社長、役職者2名、労働者の代表、顧問弁護士 の5名
事情確認による 処分対象者 計6名
・精神疾患等により組むべき事情がある中での大きな過失責任の場合。
社長、役職者2名、労働者の代表、現認者、産業医(又は主治医)、社会保険労務士 の5名
・懲罰委員会の議事録
委員会議事録の内容は、労働基準監督署に対する解雇除外認定を受けるための重要な書類となります。また、労働紛争等の訴訟に際する処分の客観性を裏付ける重要書類となります。
・その他
懲戒処分の実施では、単に就業規則の懲戒の定めだけでなく、過去からの慣例についても確認されます。委員会の設置を就業規則で明記している。
または、これまでの処分で委員会による審議を実施している場合、委員会を開催せずに重い懲戒処分を行うと労基署の懸念材料となり得ます。
処分内容が明らかであっても、重い処分を行うときには形式上でも委員会設置による審議を執り行います。